令和7年「建国記念の日」に寄せて

紀元2685年の建国記念の日、誠におめでとうございます。

私たちの国は、初代神武天皇が奈良の橿原に都を建てられて以来、今日に至るまで父方のみを辿れば神武天皇に繋がる一系の皇統で受け継がれてきました。また、神武天皇が建国に際して出された詔には「八紘(あめのした)を掩(おお)ひて宇(いえ)と為(せ)む」、つまり「天の下にひとつの家のような社会を築こう」と書かれており、これが日本の建国の理念です。そんな理念の下、日本の歴史は、国民を「大御宝(おおみたから)」として慈しんでくださる天皇陛下と国民が「君民一体」となって紡がれて来ました。

そんな私たちの国に対して、昨年10月、国連女性差別撤廃委員会が、皇位を男系男子に限るのは女性差別だとして皇室典範の改正を勧告してきました。これを受けて政府は「皇位継承の在り方は国家の基本に関わる事項」として抗議し記述の削除を要求しましたが、委員会が応じなかったことから、このほど対抗処置として、女性差別撤廃委員会を任意拠
出金の使途から除外することを決定しました。今年度に予定していた委員会の訪日プログラムの中止も、事務を担当する人権高等弁務官事務所(OHCHR)に伝達したといいます。

ジュネーブで開催された同委員会にNGO枠で参加して国連の不当な干渉に対する反論を行い、勧告後には「国連分担金の見直しや女性差別撤廃委員会からの撤退も視野に入れるべき」と訴えていた立場としても、当初快哉を叫びました。が、続報に触れて少々拍子抜けしたことも事実です。というのも、外務省によると、日本は毎年約2千万~約3千万円
をOHCHRに拠出しているものの使途を指定していて、そもそも拠出金が女性差別撤廃委員会に振り向けられたことは少なくとも平成17年以降なかったというのです。但し、拠出金が余った場合にOHCHRの裁量で同委員会に配分する可能性があることから日本の立場を明確にしようと判断したとのこと。つまり、女性差別撤廃委員会に対する経済的ダメー
ジは実質的には発生しないのです。とはいえ、訪日プログラムの中止を含め「抗議の意」を示したことは、一歩前進と評価したいと思います。

これに対して、左派系NGOや共産党がすぐさま拠出金制限の撤回を要求しました。私たちがジュネーブで目の当たりにしたのは、皇位継承問題のみならず夫婦別姓推進など自分たちの主張を国連に「御注進」し、国連という外圧を利用して日本政府に圧力をかけようとする左派団体発マッチポンプの構図でした。そして、その場に決定的に足りないのは日
本の伝統や国柄を守ろうとする保守側の声でした。
政府が国内外の圧力に屈せず「抗議の意」を貫徹できるよう、保守側も「声を挙げる」ことを、これまで以上に重視し行動していかねばならないと思っています。

皇統(父系男系)を守る国民連合の会会長 葛城奈海